IBMと東京大学がHeronプロセッサを用いて56サイトの多体システムでクリロフ量子対角化を実証

東京大学とIBMの研究者たちは、IBM Heron量子プロセッサ上でクリロフ量子対角化（KQD）を実証し、最大56サイトの2次元ヘビーヘックス格子上のハイゼンベルクモデルのシミュレーションに成功しました。この実験は、これまでに量子プロセッサで達成された最大の多体システムのシミュレーションの1つとなります。この研究の成果は、Nature Communicationsに掲載されました。

KQDは、変分最適化を必要とせずに、動的な挙動から高精度のエネルギー推定を行うように設計されたアルゴリズムです。この手法は、量子プロセッサ上で実行されるトロッター化されたユニタリ進化を用いて多体ヒルベルト空間の部分空間を構築し、それらの部分空間内で多体相互作用ハミルトニアンの古典的な対角化を行い、基底状態エネルギーを推定します。実験では、IBM Heronプロセッサを使用し、確率的エラー増幅（PEA）やねじれ読み出しエラー消滅（TREX）などの高度なエラー軽減技術を、ハードウェアノイズに対処し、測定された観測量の精度を向上させるために、パウリねじれや動的デカップリングと組み合わせて使用しました。