Silicon Quantum Computing、量子ドット技術を用いたアナログ量子プロセッサーチップのデモを実施

日付:2022-07-02 提供:Quantum Computing Report 翻訳:Hideki Hayashi

オーストラリア、New South Wales大学(UNSW)からスピンアウトしたSilicon Quantum Computing(SQC)。この企業は、量子ドット技術を用い、精密なSTM(走査型トンネル顕微鏡)リソグラフィで製造する量子プロセッサの開発に長年取り組んでいる。これは、Intel、Diraq、Quantum Motion など、量子ドット量子ビットの開発に取り組んでいる他の企業が、今日の大量生産半導体製造施設に普及している深紫外光(DUV)を用いたより伝統的な光リソグラフィを使用しているのとは対照的だ。


SQCのアプローチの利点は、サブナノメートルの精度でチップ上に原子を配置することができ、チップ構成の変更が容易である点。一方でデメリットは、このプロセスを量産半導体工場に容易に転用できないこと、また、量産半導体のような低チップコスト特性や大量生産が実現できないことである。しかし、同社は、量よりも精度と質を重視する技術戦略を示しており、UNSWシドニーに独自の製造施設を建設し、チップを製造している。


同社は、小さな有機分子であるポリアセチレンの量子状態を正確にモデル化するため特別に設計された、初のアナログ量子プロセッサーチップを発表した。このデバイスは、6つの電極(G1~G6)で制御されるリン原子を使用した量子ドットを10個配置することで構成されている。電極は、ポリアセチレン分子の炭素原子の結合とエネルギー準位を模倣して、量子ドットの位置を精密に制御することができる。そして、このデバイスが、分子そのものに対するアナログモデルとして機能していく。この装置に電流を流し、その結果を測定することで、実際の分子がどのような挙動を示すかを予測することが可能だ。これは、航空技術者が新しい飛行機のスケールモデルを作って、風洞実験を行い、実物の飛行機がどのように飛行するかを予測するのと同じような概念である。


SQCのアプローチの利点は、スケールアップがとても容易であることで、彼らは実際、より大きく、より複雑な分子のモデリングに取り組んでいる。これは商業的に関連性を持っていくだろう。このアナログ量子シミュレーションのアプローチでは、ゲートベースのマシンで理論的に可能な幅広いアプリケーションをカバーすることはできないが、化学反応の量子シミュレーションは、創薬や、材料設計などの分野で使用可能で、重要なアプリケーションである。SQCの発表の詳細については、今回の開発を発表した


プレスリリース

http://sqc.com.au/2022/06/23/silicon-quantum-computing-announces-worlds-first-quantum-integrated-circuit/


FAQ

http://sqc.com.au/wp-content/uploads/2022/06/FAQ_SQC-first-quantum-integrated-circuit_230622.pdf


技術研究論文

http://sqc.com.au/wp-content/uploads/2022/06/RESEARCH-PAPER_Nature.pdf