Quantinuum、量子化学ソフトウェア・プラットフォーム「InQuanto」を発表

日付:2022-05-28 提供:Quantum Computing Report 翻訳:Hideki Hayashi

 量子コンピュータの利用で最も期待されているのは、量子計算化学の分野である。リチャード・ファインマンはかつてこう言った。「自然は古典的ではない。自然のシミュレーションしたいなら、量子力学的に作るべきだ」と。量子計算化学は、創薬、材料設計、触媒探索、化学プロセスの最適化、炭素隔離など、多くの重要な応用の可能性を秘めている。

 Quantinuum(旧Cambridge Quantum)のソフトウェアチームは、計算化学者が量子コンピュータの能力を活用して、難問を解決するのを支援することを目的として、数年来、ソフトウェアパッケージの開発に取り組んできた。このパッケージは、ベータテストの段階ではEUMENと呼ばれていたが、このたびInQuantoという名称で一般公開に至った。これには、複雑な分子・材料シミュレーションのための重要なアルゴリズムを多数提供する、高度なルーチンが含まれている。InQuantoは、QuantinuumのTKETソフトウェアの上で動作し、TKETにすでに存在するハードウェアに依存しない強力な最適化機能を持っている。

 InQuanto で使用できるアルゴリズムには、 分子や物質の基底状態エネルギーを求めることができる古典と量子のハイブリッドアルゴリズムである Variational Quantum Eigensolver (VQE) などがある。また、ADAPT-VQE、量子部分空間展開、ペナルティ駆動VQEアプローチなど、基底状態および励起状態計算のための他のアルゴリズムも含まれている。さらには、量子ソルバーと古典ソルバーの両方を断片化された物質の異なる部分に適用できる埋め込みと断片化の機能を備えている。そして、このソフトウェアの最も興味深い点は、現在利用可能なNISQレベルのマシンから最大限の効果を引き出すために、化学に特化したノイズ軽減技術を搭載していることだろう。

 Quantinuumの Cambridge Quantumチームは,新日鉄,JSR,BMW,Roche,BMW,Honeywell Performance Materials and Technologies (PMT) などの顧客と,このソフトウェアの初期バージョンで数年間協働し,その結果を記述したいくつかの論文を発表している。

 InQuantoに関するその他の情報は、プレスリリース、製品のパンフレット、プラットフォームの技術的な紹介を行ったMediumの記事がある。