IonQとRigetti、今後のロードマップを語る

日付:2022-05-21 提供:Quantum Computing Report 翻訳:Hideki Hayashi

 IonQとRigettiの両社は、第1四半期決算のプレスリリースや第1四半期の電話会議で、将来のプロセッサのロードマップについて言及した。


 IonQのCEO、Peter Chapman氏は、同社が現在、異なる開発段階の3世代のプロセッサに取り組みについて。最新でリリースされたのは、最大32量子ビットを保持できる「Aria」と呼ばれるものだ。現在、IonQ独自のクラウドシステムで利用可能で、近々マイクロソフトのAzureシステムでも利用できるようになる予定だ。次にリリースされるのは、コードネーム「Forte」で、前身のAriaに比べて量子ビットの数はそれほど多くないが、ノイズが少なく、忠実度が向上するという。また、AOD(Acousto-Optic Deflector)と呼ばれる技術を使い、量子ビット操作で、レーザーを制御する新しい道を切り開いていく。



Laser Control as Implemented in Aria


Acousto-Optic Deflecto Laser Control as Implemented in Forte


 写真にあるように、現在のAriaプロセッサが光変調器を用いて個々のレーザービームを制御しているのに対し、Forteは音響光学偏向器を用いる予定である。 これは、ソフトウェアで制御され、偏向によってレーザーを正確に狙い、目的の量子ビットを制御することが可能となる。このアプローチは、校正などの調整を機械的に行うのではなく、ソフトウェアで行うことができるという大きな利点を持っている。さらには、1本のレーザービームで数百の異なる量子ビットに対応できるため、より微細化が可能となる。


 ひとつ驚きがあった。Forteプロセッサが前モデルと同様にイッテルビウムイオンを使用することだ。IonQは以前、バリウムの使用に移行する計画を示していたが、どうやらForteの次の世代のプロセッサまで、この動きはないようである。IonQの計画に関する追加情報は、Forteプロセッサを発表したニュースリリースと、第1四半期決算発表時のIonQ CTO、Junsang Kim氏のコメントから入手可能することができる。


 Rigetti は、今後のプロセッサのロードマップについて解説した。現在販売されている最新のプロセッサは、40量子ビットのダイを2個つなげた80量子ビットの「Aspen-M」。Rigettiはこのプロセッサをきっかけに、マルチダイプロセッサの技術を開発した。開発には6年を要し、その結果、20以上の特許を取得している。マルチダイ方式は、今後、同社の多くのプロセッサの基幹技術になると考えられる。


 しかし、より多くのマルチダイプロセッサーを作る前に、まずベースとなる改良型シングルチップ84量子ビットのダイを開発している。彼らが開発している新しいチップは、格子を更新し、接続性を高め、2量子ビットのゲート忠実度と安定性を向上させようとしている。同社のプランは、このチップを使った84量子ビットプロセッサを2023年初頭にリリースすることだ。そして、2023年の後半には、このチップを4個接続し、336量子ビットのマルチダイ実装を作るという。その後、2025年には1,000量子ビット以上のチップを、2027年頃には4,000量子ビット以上のチップを実現するとRigettiは見込んでいる。同社は、第1四半期のプレスリリースと決算説明会で、技術開発で直面しているいくつかの課題について強調している。人件費、設備、システム構成部品の予想以上の高コスト、市場やサプライチェーンの状況、利用可能な運転資金などに関して。


Rigettiの計画については、第1四半期決算プレスリリースのロードマップコメント、および第1四半期決算説明会でのCEO Chad Rigetti氏のコメントを参照のこと。